海外製の機械を取り扱っているという仕事柄、札幌工場では、日常的に海外メーカよりサンプル機を取り寄せ、品質チェック(弊社では品評会と呼んでいます)を実施しています。ここでは、もともとの品質を確認すると同時に、弊社工場での手直しの可否、工数等を見極め、品揃えに加えるか否かを判断するのです。機種によっては、結論が出るまでに数ヶ月もかかる場合もあります。もとの品質がいまひとつでも、弊社である程度の手を加えることにより、コストパフォーマンスの高い機械に生まれ変わる可能性があれば採用、即ち、商品化にゴーサインが出ます。その一方で、品質的にも構造的にも全くお話にならず、手直しには、多大なコストと労力が予想されるため没になる機械も少なからず存在します。こうした機械は、安売りすることも出来ず(仮にタダで差し上げても、受け取ったお客様が困るだけ)、泣く泣く廃棄処分にせざるを得ません。
最近の事例で印象に残っているのは、見栄えもよく、品質もそれなりなのに、ある一点の構造に難があり、販売を断念した旋盤です。この旋盤は、切粉を除ける目的で親ねじ部分がカバーで覆われているのですが、カバーを取り付けるスペースを確保するために、本来、上下から包み込むようにして、きっちりと親ねじと噛み合わさるべきハーフナットが下半分にしかなかったのです。要するに下側のハーフナットだけで親ねじを押し上げ、自動送りさせる仕掛けなのです。そのままだと親ねじが浮き上がるため、上部に浮き上がり防止ガイドが装備されていました。このような構造ですと、ハーフナットが親ねじから外れやすいなどの致命的な問題があります。また、親ねじが常にガイドに押し付けられる形となり、親ねじの過度の磨耗が懸念されます。いままで色々な旋盤を見てきましたが、このような構造の機械は初めてで、正直言って戸惑いました。恐らくこの旋盤は、長く使っているうちに様々な問題が発生する可能性が高いと考え、商品化を諦めました。このサンプルも品評会の過程でばらばらに分解してしまったため、残念ながらスクラップにするしかなさそうです。