言うまでもなくバイトは旋盤で使用する最も基本的な切削工具です。バイトにはハイス(高速度鋼)・超硬など、刃先の材質による区別のほか、全身バイト・ろう付けバイト・スローアウェイバイトなど、刃先の取り付け方式による区別があります。さらに、それらの刃先の材質や取り付け方式毎に、切削目的に応じて、右、左、突っ切り、中ぐり、ネジ切など様々な形状のバイトがあり、実に多種多様です。
弊社でも、ハイスの全身バイト、ハイスの付刃バイト、超硬付刃バイト、超硬スローアウェイバイトなどの品揃えがあります。ただ、弊社では1タイプあたりの刃先形状をせいぜい6-10種類程度に限定しています。市販の類似のバイトセットやバイトメーカのカタログを見ると、10種類以上をセットにしたものがあるようですが、弊社ではあまりお奨めしておりません。
実は、私たちもかつて、様々な刃先形状のバイトを扱っていた時期があります。しかしながら、今はかなり種類を絞り込んでいます。理由は、種類が多くても、実際の作業上、使い分けが難しい上、使い分けをしても仕上がりにあまり影響しない刃先が少なからずあるからです。先日も、あるメーカから送られてきたサンプル品のバイトを前に、弊社の旋盤工は頭を抱えてしまいました。あまりにも似たバイトが多かったからです。熟練旋盤工なら、それでも、巧みに使い分けをするのかも知れませんが、弊社の旋盤をお使いになるアマチュアユーザにとっては無用の長物だらけでした。こんな理由から弊社では、本当に必要な形状のバイトのみを厳選してセットを組んでおります。まずは、これらの基本的なバイトを使いこなしてください。これ以外の形状のバイトを使うのは、これらを使いこなせるようになったあとでも遅くはありません。