M20Aに標準装備されている長手自動送り装置は海外メーカ製ですが、毎回入荷するロットの内、最低1-2割に回転時の異音が認められます。異音といっても、極めて主観的な問題で、実際に発生する音に対する感じ方は人によって様々です。気になって仕方がないという人もいれば、全く気にならないという人もいます。これに関しては、以前にも書いたように、札幌工場での検査において、どうしても気になる(即ち、この装置をお使いになるお客様の7-8割の方々が「気になる」と予想されるレベルの異音を発する)装置については、海外の製造元に送り返して、修理させたり、新しい装置と交換させたりしてきました。この装置は細かい部品が多い上、設計上の問題なのか、分解が非常に面倒な構造になっています。このため、安易に分解すると装置自体を破損させる可能性が大きいので、弊社では原則として海外の製造元に修理を依頼する形をとってきました。いずれにせよ、装置を送り返しはしたものの、私たち工場の作業担当者の音に対する感じ方と製造元の見解が一致することは稀で、製造元が素直に異音の発生を認めることは滅多にありませんでした。当然、装置の品質も一向に改善されません。こんなことから、私たちも覚悟を固めて、異音を発生する装置を自分たちで分解し修理することにしました。
実は、音の問題は非常に奥が深く、様々な複合要因により発生している場合が多いので、ただ分解しても、原因が特定できるとは限りません。いまから40年以上前の話ですが、札幌工場で形削盤(セーパー)を製造していた頃に、運転時の「異音」問題に悩まされたことがあります。このときは、地元の大学工学部の全面的な協力を得て、様々な角度から調査したのですが、結局、原因を突き止めるには至りませんでした。こんな古い経験がトラウマ(?)になっているのか、弊社は音の問題に極めてナーバスです。
作業担当者2名がペアになって、慎重に自動送り装置を分解していきました。細かい部品がいろいろ出てくる。発生する異音から推定して、ギア関係が怪しいと考え、部品ひとつひとつを入念にチェックしていったところ、あるギアの装着されている位置がわずかにズレていることに気づきました。なぜズレが生じているのかと、よくよく見ていくと、どうもギアに嵌め込まれている部品のサイズがやや大きいということに気づきました。この部品を0.5mmほど長めのサイズに作り直し、取り付けたところ、異音がなくなりました。
今回はたまたま上手くいったラッキーなケースかもしれません。でも、いままでブラックボックス扱いだった部分の分解修理に成功したことは、大きな自信になりました。これを機に、今後も自動送り装置の分解修理に挑戦してみたいと思っています。