札幌工場はJR札幌駅や大通・すすきのといった中心街から数キロしか離れていませんが、敷地内にはわずかながら貴重な自然が残されています。以前は鬱蒼としたニセアカシヤの大木などが生い茂り、ちょっとしたオアシスだったのですが、新工場建設などに伴い、徐々に姿を消してゆきました。それでも今の季節は、自生しているスズランが一斉に白い花をつけ、タンポポなども彩をそえています。
日頃、薄暗い工場の中で、機械と格闘していると、緊張感と疲労からどうしても気持ちが鬱屈しがちです。特に、クレームやトラブルの報に接すると、緊張が一気に高まります。細心の注意を払い、手塩にかけて整備に取り組み、自信を持って送り出した商品でも、機械ものである限り、トラブルとは全く無縁などということはありえませんし、時にはそれが原因でお叱りを受けることもあります。お叱りの内容が、誤解に基づくものだったり、商品の特性を無視したものだったりすることもありますが、お客様の声を貴重なヒントと捉えて、悩み苦しみ、神経をすり減らしながらも楽しみつつ、よりよい解決策を考えている毎日です。そんな時に、ふと工場の外に咲くスズランの花を眺めていると、心が安らぎ、よいアイデアも浮かぶようです。
北海道の春夏は短く、あっという間に冬になってしまいます。5月6月は好天と咲き乱れる花に助けられ、最も冴える季節かもしれません。