あるお客様より、「出荷前に全分解に近い形で整備しているという業者さんから機械を購入したが、不具合なところがたくさんあった」とのお話を伺いました。価格も相当安かったので、つい買ってしまったのだそうです。
実際に、その業者さんがどのような作業をしているのか知る由もないので、コメントは差し控えますが、真面目に、全分解して整備しているのなら、相当な手間とコストがかかっているだろうと考えるのが常識です。弊社の機械についていえば、FL/FMシリーズの各機種では、残念ながらAタイプでも全分解作業は実施しておりません。というより不可能です。コストがかかりすぎるからです。もちろん、いろいろ気を配って、問題になりそうな部分はきちんと直していますが、どこにどんな不具合が潜んでいるのか予想がつかないのが輸入品の“特色”です。だから、Aタイプといえども、時に予期せぬ不具合が発生して、お客様よりお叱りを受けたりします。もちろん、弊社の場合、そのような苦情に対しては、社をあげて 真摯に対応していますのでご安心を。いっそのこと、Aタイプの機種は全て、全分解調整の上、出荷すればよいのではという意見も耳にしますが、それをやれば、お客様にリーズナブルな価格でご提供することが極めて困難になります。正にジレンマです。いずれにしても全分解作業まで実施して、しかも価格が安いとなれば、何かあると考えざるを得ません。
弊社でもFL350E旋盤をベースに、大幅にレベルアップを図ったL180Vという機種があります。この機種は、FL350Eを殆ど全分解して再調整の上、一部の部品も国産品に交換してレベルアップを図っていますが、価格はFL350Eの4倍くらいにはね上がります。 それでも価格は抑え気味なのです。品質に比べて安すぎると、常に現場から不満の声が出ているくらいです。全分解と一言で言いますが、本当にやってみると実に手間がかかります。一度分解した部分が元通りに組み立てられないなどという笑えない事例がたくさん出てきます。いい加減な部品を無理矢理組み込んだりしているから、このようなことが起きるのです。本当に悪戦苦闘の連続です。部品が悪ければ、ひとつひとつ手直しします。ひどい場合は造り直すこともあります。まさに根気の勝負です。弊社には、このような工程を経て出荷される機種が何機種かありますが、どの機種も本当に手間がかかります。以前に比べて輸入品の品質が悪化している分、札幌工場での手直しにも余計な時間がかかり、非常に採算が悪くなっています。全分解調整がいとも簡単に出来ると誤解されたら困ります。


ただ今、全分解作業中