『二つの絵を見比べて、間違っている部分を5か所見つけてください。制限時間は5分です』

雑誌や新聞のクイズ・パズル欄に、「間違いさがし」というゲームが掲載されていることがあります。大人が取り組んでも面白く、時間つぶしに最適ですね。子供向けには、いわゆる知育教材としても売られているようで、集中力、認識能力、根気を養うのに非常に有効だそうです。

私たちの工場における海外製機械の出荷前検査も、正に「間違いさがし」をやっているようなものです。 間違っている部分が5か所あるとか8か所あるとか、事前に教えてもらえれば少しは楽ですが、実際は、間違っている箇所がいくつあるかもわからないままに、あらかじめ機種ごとに設定した標準作業時間内に全て見つけ出し、手直しし、部品交換などを済ませなければならないので、「間違いさがし」ゲームより、ずっとハードルが高いのです。
実際、思いもよらない間違い(不具合)が見つかり、制限時間を超過することがしばしばあります。

『二つの機械を見比べて、間違っている部分をみつけて、すべて直して下さい。何か所間違っているかはわかりません。10か所かもしれないし、2か所かもしれません。極めて稀ですが、間違っている所がない場合もあります。制限時間はXX時間です。さあ始めてください』
私たちの仕事を「間違いさがし」に例えれば、こんな感じになります。

もちろん、工場には機種ごとに検査表が用意されていて、それに従って作業を進めてはいます。でもそれだけでは不十分なのです。
私たちが使用している検査表は、いままでに発生した苦情やトラブルを都度反映させながら、長い時間をかけて作り上げられてきたものです。新しい問題が浮上するたびに、内容の見直しを行って、常に現状に即した検査表になるよう努力しています。ですから、検査表が、私たちの整備・調整作業に大きな威力を発揮しているのは間違いありません。
それでも検査表はいわば過去の「歴史」が書かれているものにすぎません。以前にも触れた通り、毎回新しい不適合がみつかるので、検査表だけを頼りにすることはできません。やはり、最後は長年の経験に裏付けされた勘が頼りになります。毎日毎日、輸入機械に接していると、検査表に記載がなくても、なんとなく「異変」に気が付くようになります。
知育教材の受け売りではありませんが、このような仕事をしていると、集中力や認識能力が大いに養われるようです。

ある全国的に有名なファミリーレストランでは、子供向けメニューに「間違いさがし」が載っており、子供たちが夢中になって間違いさがしをしています。その様子をみていると、仕事のことを思い出して、思わず苦笑してしまいました。