毎度のことではありますが、海外製の機材を分解調整していると、様々な不具合箇所を発見します。
先日、ある輸入機材(ここでは、これ以上のことは書けません)を整備していたところ、動きが悪い部分が見つかり、分解してみました。
そこは、滅多に分解しない箇所です。
でも、何か変なのです。
別にブラックボックス化された重要な部品というわけではありません。
分解して調べてみたところ、中に組み込まれている部品に大きな亀裂が入っていたのです。
すぐに、この機材の製造元である海外の取引先に連絡したのですが、何故かなかなか返事が来ません。
通常なら、お詫びとともに、代わりの部品を送る段取りをしてくれるのですが、今回は、うんともすんとも言ってきません。
そのうち先方から長文のメールが届きました。
やり取りはいつも英語なのですが、かなり興奮気味で、きつい書き方でした。
内容をあえて日本語に訳せばこんな感じでしょうか。
「おたく(札幌工場)は、普通なら手をつけない部分をわざわざ分解した。分解さえしなければ、そんな亀裂は見つからなかったはずだ。その部品は、おたくが分解したせいで傷つけられたに違いがない。うちは悪くない!」
クレームに対する海外取引先からの反論は、過去にもいろいろ経験してきたので、それ自体は驚きませんでした。
こんな時は、「我々(海外の取引先)の責任ではないので、代わりの部品を提供することはできない。どうしても必要なら、有償でなら提供する」などと言われるのですが、今回の反論には、予想もしなかったことが書かれていました。
「うちの製品の品質を信用せずに、勝手に分解するような会社には、2度と機材を売ってやらない。」
この取引先とは20年近い付き合いがあります。
件の機材だけでも、500台以上販売した実績もあります。
その間、軽微な不具合はあっても、部品交換が必要となる不適合の件数は数えるほどしかありませんでした。
比較的、品質的に安定した機材です。
品質にプライドを持っているのはわかりますが、取引停止という脅しを受けたことにショックを受けました。
別に意味もなく分解したわけではありません。
そんなことをする暇もありません。
動きに違和感があるから、調査のために分解したのです。
これ以上、細かいやり取りを書くことは控えますが、最終的には、取引停止にもならず、渋々ながら新しい部品も送ってもらえることになりました。
でも先方の態度は、いまだに釈然としません。
聞くところによれば、この取引先工場がある国の景気はあまり芳しくないようです。
何らかの異変が起きているのではないかと、心配しています。
杞憂であればいいのですが。
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