合理化された機構を持ち、操作性、耐久性に優れた高性能フライス盤、M0(V)12の主軸テーパーMT3タイプの受注活動を最近開始しました。2006年11月に東京ビッグサイトで開催された日本国際工作機械見本市にサンプル機を出展した後、社内で準備を進めて参りました。この機種はもともとドイツ製で、弊社が販売を開始して以来、15年以上になります。その間、数度のマイナーチェンジや機能増強を経て今日に至っています。この機種の主軸テーパーはいままで一貫してMT2でしたので、オプションとはいえMT3仕様が出たことは大変画期的なことだと思います。
今回MT3仕様機を商品化するにあたり、技術的にクリアしなければならない問題がいくつかありました。それらの中でお客様に一番影響があるのは、引きネジ(吊りボルト)でした。M0(V)12用の引きネジは他の機種に比べかなり特殊で、上と下にそれぞれ径もピッチも異なるネジが切られています。MT3仕様機用としてドイツから添付されてきた引きネジは市販のキャップスクリュー(標準規格品)のキャップ部分にネジ加工がなされたもので、キャップ部分の肉厚が極端に薄いため、何度か使っているうちに破損する恐れが強いことがわかりました。他のフライス盤に比べて主軸内部の構造が複雑なため、引きネジが主軸内部で破損すると、引きネジを主軸から取り除くことが殆ど不可能になります。このため弊社では、この問題を解決すべくMT3仕様機専用の引きネジを新たに探すことにしました。
ところが探してみると、これが意外とないのです。最初はやはり市販の規格品を改造することを考えましたが、適当なものが見つかりません。ある会社に問い合わせたところ、弊社が求めているようなネジは「日本中どこを探してもない」とまで言われてしました。恐らくドイツの製造元でも同じ問題に直面して、身近にある標準規格品の改造でお茶を濁したのではないかと思われます。このため、いくつかのネジ専門の工場と交渉し、専用のネジを完全な特注で調達しました。たかがネジ、されどネジ。主軸テーパーの変更でこんなに苦労するとは思いませんでした。


特注で製作した引きネジ