工場での毎日の整備・調整作業では、キサゲかけ作業が欠かせません。キサゲかけは、キサゲという道具を使って、金属の表面を手作業で削り、細かい調整をする作業をいいます。弊社では、機種により程度の差はあれ、取り扱っている全ての旋盤・フライス盤の出荷前の調整作業でキサゲかけを実施しています。Bタイプといえども、必要に応じてキサゲをかけています。
生産現場で稼動している高精度な工作機械をみると、入念にキサゲ作業が施され、いわゆる「市松」とか「千鳥」とかいう模様が丁寧につけられており、見た目にも非常に美しいものです。キサゲについてそのようなイメージを抱いておられるお客様から、「受けとった機械にキサゲ模様がついていない、本当にキサゲをかけているのか」といった問い合わせを受けることがあります。この種のご質問が出る背景には、キサゲかけ=美しい模様という、キサゲに対する誤解があるようです。確かにキサゲかけをすることにより精度や、動きは改善されます。しかしながら、キサゲかけにより常に模様がつくわけでもなければ、模様がついているから必ず高精度ということではないのです。
どういうことなのか、以下にまとめてみました。

*キサゲの本来の目的は、金属表面で他の部分より高くなっているところを削り落として、他と高さを合せることです。高い部分を削り落としただけでは、キサゲ模様になりません。

*クロススライドの送りをスムーズにする目的で、アリ溝にキサゲをかけることもあります。この場合も模様がつきません。

*構造上、表側の目に触れるところではなく、通常は目に触れない部品の裏側にキサゲをかけることがよくあります。この場合も、模様が裏側につくので、一見模様なしにみえます。

*弊社取り扱いのある機種は、海外メーカが、しゅう動面上にきれいなキサゲ模様をつけてきますが、実際に測定すると全く精度が出ていません。これは、いかにもキサゲをかけた高精度機と見せかけるための小細工の一種です。模様と精度が無関係だという好例です。言うまでもないことですが、弊社ではこんな機械もキサゲをかけ直して、お客様にお届けしています。

*キサゲかけは、精度が出ていなかったり、動きが悪い時に実施するものです。最初から所定の精度が出ている場合は、キサゲかけ作業は不要となります。ですから、場所によってはキサゲかけ無しで済む場合もあります。でも、こうした例は稀です。

いずれにせよ、弊社工場では毎日地道にキサゲかけ作業を実施しています。前述のように、精度調整のほかに、動きをよくするためにもキサゲ作業は欠かせません。その効果があって、最近、多くのお客様から「あっ!おたくの機械、よそと比べて動きがスムーズだ。」という驚きの声が出るようになりました。こんな声ほど仕事をしていて嬉しいものはありません。
※現在BタイプはMSタイプに呼称が変更されています。


アリ溝へのキサゲかけ作業