鉄の塊である工作機械が運送途上や保管期間中に錆びることを防ぐために、旋盤のベッドやフライス盤のテーブル表面など塗装や表面処理がなされていない部分には、出荷前に防錆剤(油)が塗布されます。輸入される各機種も、海外の各工場で入念に防錆剤が塗布されていますので、札幌工場に到着した機械が錆びていたという例はあまりありません。それはそれで結構なことなのですが、あまりにも入念(見方を変えれば過剰)に塗布されていますので、整備・調整作業前の防錆剤除去作業は誠に骨の折れる作業となります。油が固まって、各所にこびりついていることもあり、機種によっては除去に1時間くらいかかるケースが見受けられます。出荷前検査終了後に再び防錆処置が必要になるため、整備・調整作業前に、出来ればあまり多くの防錆剤を落としたくはないというのが本音です。それなのに、作業前にわざわざ防錆剤を除去する理由はなんだと思われますか? 実は防錆剤をきちんと除去しておかないと、精度や各部の送りの調整作業に支障をきたすからなのです。防錆剤が付着していると、各送り部分のチェックが出来ませんし、アリ溝部分へのキサゲかけ作業も出来ません。正しい精度の測定も出来なければ、精度の調整も不可能になります。このような理由で、毎日ある程度の時間をかけて海外から入荷した機械に塗布されている防錆剤の除去作業を地道に行っています。防錆剤の除去作業は、整備・調整作業前の準備にしか過ぎないのに、意外と時間がかかるので悩みの種です。

 

出荷前検査での防錆剤(油)除去作業風景
機械が錆びているわけではありません。
機械表面に塗布されている茶色っぽい油が錆びているように見えるだけです。