海外から輸入される旋盤の中には、送りねじを支持するブラケットの固定ボルトやジブ調整ねじが最初から緩んでいるものが多数あります。レンチで軽く回すことができるくらい緩いものもあり、開梱してみるとボルトが欠落して底板の上に転がっていたなどというケースも度々あります。実はこれらは「緩んだ」のではなく最初から「緩めて」取り付けてあるのです。ねじを緩めないと、送りが滑らかにならないからです。逆からいうと、これらのねじをきちんと締めこんでしまうと、固くなって動かないのです。
弊社での出荷前検査では、各部の送りの調整作業は精度調整と並んで、重要な工程となっていますが、我々が一番苦労するのは、ある程度きちんと締め込んでも、各部の送りが適度な滑らかさを保つように調整することなのです。それを実現するために、時にはキサゲ作業も必要となります。海外製の旋盤は、このような手間のかかる作業をする代わりに、固定ボルト類を緩めに取り付けて、一見送りが滑らかになるように誤魔化しているのです。最近の流行り言葉でいえば、送りの滑らかさを“偽装”しているのです。
これらの誤魔化しは、言われなければなかなか気づかれない上、一応それなりに切削することが可能であるため、導入当初には問題が顕在化しにくいようです。でも、ある程度使っているうちに、全体がガタガタになり、あわてて緩んでいるところを締め込めば、送りが極端に固くなったり、動かなくなったりします。過去に、弊社が行なった実験でも、同様な結果となりました。
このような部分の調整は、見た目に違いがないため、見過ごされがちですが、他社の類似輸入機にはない弊社の旋盤の強みのひとつです。