「札幌工場で整備・点検・手直ししているというから買ったのに、期待はずれだった。なによりも外観の仕上げが雑だ。」-お客様より、このような声を時々耳にすることがあります。精度面や各部の動きは問題ないのに、外観上の問題でお叱りを受けるわけです。実はこれ、前回のテーマ<品質レベルが悪化し続ける輸入機械>に関連した問題です。輸入した機械の外観の仕上げがひところに比べ相当悪化しているのです。機種やタイプにより違いはありますが、私たちが実施している出荷前検査では、外観の手直しにもかなり気を配っているつもりです。それでも、細かい塗料の剥げや小さなキズ(のように見える部分)、やや歪に開けられたスイッチ用の穴、鋳物の黒皮部分の凹凸に至るまで全てを直すことは、事実上不可能です。でも、お客様の立場で考えれば、大金をはたいてやっと購入した憧れの工作機械にキズのようなものがあれば、気分が悪いというのは理解できます。弊社から出荷する各機種は、筆をつかって色の剥げを直したり、形が歪な部分を必要に応じてパテで直したりもしています。しかしながら、家電製品にみられるように、ピカピカで、一切キズがない状態での出荷は正直いって、非常に難しい。第一、海外のメーカはそこまでシビアに外観に気を配っていません。明々白々のキズなら別ですが、小さなものだと「許容範囲」の一言で片づけられるのがオチです。海外のメーカにしてみれば、「そこに小さなキズがあるからと言って、操作上問題がありますか、精度に影響がありますか?」という言い方になります。「ウチの工場(海外メーカ)は世界中に製品を輸出しているが、こんな小さなことで文句をいうのはお前(弊社)だけだ」とも。海外のある担当者は片言の日本語で「ニッポン人、Very 神経質!」と叫びました。これには思わず笑ってしまいましたが、事実、日本のお客様の要求水準がものすごく高いのは事実です。
もっと外観を美しく仕上げ、すべてのお客様を納得させるようなレベルに上げるためには、機械を完全に分解して、悪い部品は手直しをするか、新たに作り直し、塗装もやり直し、再び入念に組み上げるしか方法はありません。でも、そんなことをしたら、コストがものすごく上がって、売り物になりません。

輸入機械の外観を仕上げるにあたって、どの部分をどのレベルまで修正するか? その判断基準は、各作業担当者の主観に頼るところも多く、検査表上でも明確な基準を設定しにくいところなのです。なにしろ同じ機種でも、ロットにより、或いは個体により、キズの有無、程度、発生箇所は様々で、常に新しい“発見”があるからです。ですから、微妙な部分については、どの程度直すか都度社内で検討しながら作業を進めています。それでも、各作業担当者の技量、経験の長さ、感性の違いから、出荷後にクレームになることがあります。この問題も、私たちにとって深刻な悩みの種のひとつです。