震災から7カ月が経過しましたが、復興にはまだまだ時間がかかるようです。一時に比べれば全体に落ち着いてきましたが、いまだに札幌工場から本州方面に発送する荷物の配達指定日を運送業者が確約しないなど、影響は依然残っています。被災地が一日も早く復興することを心から祈っております。

先日、東京近郊のある大学に納めた旋盤の修理に伺いました。この修理作業は元々夏までに終える予定でしたが、諸事情により延び延びになっていたものです。
ここには弊社の旋盤・フライス盤が合計で20台以上納められていますが、3月11日の震災時に発生した液状化現象の影響で、これらの機械も大きな被害を受けました。フライス盤は殆ど無傷でしたが、旋盤の多くは倒壊し、カバーやハンドルが破損したり大きく変形したりしました。床に固定するなどの耐震対策が施されていなかったのが原因ではありますが、東京からこんなに近い場所で、これだけの被害を受けるとは正直いって、予想もしていませんでした。改めて耐震対策の重要性を認識しました。
修理の依頼を受けて、事前に現地で破損状況を確認したところ、幸い致命的な損傷はなく、主にカバーや電装品の交換で済むことが分かりました。大半の修理は現地で可能と判断しましたが、スリーブの繰り出しが不能になった心押台などは現地修理が困難なので、取り外して弊社工場で修理をすることにしました。いずれにしても数が多いので、現地へ持ち込む部品類の準備作業だけでも色々と手間取りました。一例を挙げると、海外から取り寄せた部品に開けられているタップ穴には不完全なものが多く、そのままではネジがきちんと入りません。そのため、各タップ穴をさらい直してネジがスムーズに入るように修正しました。電装品については、現地での作業を効率よく進めるために、予めコネクタに配線を施し、コードには圧着端子なども取り付けておきました。部品類は、事前調査で判明した必要部品以外にも、不測の事態に備えて予備部品を多めに用意して、現地に赴きました。
元来、現地でのカバーやスイッチ類の交換はさほど難しい作業ではありません。しかしながら海外製品の場合、部品がひとつ合わせで取り付けられている箇所がたくさんあって、そのままではすんなり組めないケースが殆どです。例えば、主軸台に向かって左側にあるサイドカバーは、蝶番の位置や穴の位置が機械によって微妙に異なっています。現地では、実機の状態を見ながら、蝶番の位置をずらしたり、穴を少し拡げたりするなどの微調整を施し、きちんと収まるようにしました。この機種の場合は、同時にリミットスイッチの位置も再調整する必要がありました。ですからカバーを取り付けるだけなのに、予想外に時間がかかることも珍しくありませんでした。こうした作業をひとつひとつ丁寧に行い、1日半ですべての機械の修理を無事に終えました。
震災により破損し放置されていた旋盤がすべて使用可能な状態に戻った時には、さすがに感無量でした。