札幌工場は歴史が古いだけあって、物置などを整理すると骨董価値がありそうな古いものが時々出てきます。以前、古い建物の取り壊しに際して、物置を整理していたところ、戦前に使われていた古い電話機が5-6台まとめて出てきたことがありました。木製の四角い壁掛けタイプの電話機です。それぞれの電話機に貼り付けられている製造銘板から、明治30年代に沖電気や日本電気で作られたものであることがわかりました。珍しいものなので、ずっと取っておきたいと思いましたが、十分な保管場所もなく、かといって捨てるにとても忍びなく、テレビの「なんでも鑑定団」に応募するなんてことも考えましたが、それも面倒。ということで、弊社がかつて製造していた形削盤を展示している「北海道開拓の村」にまとめて寄贈することにしました。といっても、1台くらいは手元に残しておきたいと思い、出てきた電話機の中で、製造年が最も古い、明治33年沖電気製の1台だけを残し、他のすべてを寄贈しました。明治33年とは西暦1900年。19世紀最後の年に作られた電話機ということになります。
それから暫くして、開拓の村の学芸員の方から、弊社が寄贈した電話機が、調査の結果、北海道内に現存する電話機の中で最古のものであることが分かったとの連絡を受けました。となると、手元に残した1台は、寄贈した電話機よりもっと古い訳ですから、こちらこそ道内最古ということになり、大変驚きました。この電話機は、ハンドルを回すとベルが鳴るなど、コンディションは比較的良好で、今でも大切に保管しています。
ところで、札幌工場が出来たのは昭和に入ってからであり、なぜ明治30年代の電話機がたくさん保管されていたのか、その経緯がよくわかりません。恐らく、当時の電話機は非常に高価だったため、中古品を購入したのではないかと推測しています。いずれにせよ、この古い電話機を見るたびに工場の歴史の重みを感じます。


北海道最古の電話機(?)