メカニクスの前身である札幌工作機械製作所は、1938年(昭和13年)に、小型のセーパー(形削盤)の製造でスタートした会社です。
 
創業当時から、社員は皆、形削盤のことをセーパーと呼んでいました。
私たちもセーパーという呼び方を踏襲していますが、英語表記は「Shaper」であり、シェーパーというべきかもしれません。
でも昭和の時代には、工場や工業系の学校ではセーパーの呼び名で親しまれていたようです。
私たちも、これからもセーパーという呼び名を使い続けるつもりです。
 
蛇足ですが、日本語では形削盤を「かたけずりばん」と読みますが、「かたちけずりばん」という呼び名が正しいという説もあるようです。
 
セーパーという工作機械を今でも製造している会社は、おそらく日本はおろか世界を見渡しても殆どないと思います。
いわば“絶滅機種”です。
理由は、セーパーでできる仕事が、フライス盤に取って代えられてしまったからです。
 
本当は、セーパーにしかできない加工というものがあるのですが、時代の流れには逆らえません。
札幌工場でも、セーパーの製造を50年以上前に事実上終了しました。
 
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先日、弊社の旋盤・フライス盤をお使いの企業の方から、セーパーのことがわかる社員とお話がしたいとのお電話を頂きました。
その会社では、今でも札幌工場製の古いセーパーが現役で動いているそうです。
 
「セーパーのことがわかる」社員と言われても、いまのメカニクス社員で、セーパーの製造に携わっていた人間は一人もいません。
札幌工場にも一台だけ、設備機械 兼 記念品としてセーパーが残っていますが、長い間使用していません。
 
今回は、セーパーを作ったことはないけれど、使ったことがある社員に電話対応をさせました。
札幌工場で最古参の社員です。
 
お話の内容は、あるワークをセーパーで切削する際の、最適な切込み量やストローク数(スピード)に関するご相談でした。
材質が特殊で、的確なこたえが見つからなかったのですが、とりあえず、経験に基づき、一般的なアドバイスをさせていただきました。
 
具体的な内容をここで書くわけには参りませんが、このユーザ様が、フライス盤ではなくセーパーでの加工を検討される意味が分かってきました。
その作業にはフライス盤よりもセーパーのほうが適しているのです。
まさにセーパーにしかできない仕事だったのです。
 
このような現場では、50年60年たってもセーパーが手放せないのかもしれません。
 
古いセーパーでも、日々の手入れを怠らず、大事に扱えば、これらも長く使用することができるかもしれません。
 
でも、セーパーのことがわかる人間は確実に減っていきます。
 
今後もセーパーについてのご相談に応じることができるかどうかわかりません。
加えて、不具合が発生しても、札幌工場での修理対応は事実上不可能です。
 
札幌工場製のセーパーは頑丈で高精度という定評がありました。
今後も、故障なく稼働し続けることを祈るのみです。
 


札幌工作機械製の形削盤(セーパー)