意外に思われるかも知れませんが、札幌工場では旋盤に使用するバイト類も必要に応じて研削し直して出荷しています。本来バイト類は新品といえどもそのまま使えるわけではなく、お客様サイドで作業前によく研いで使って頂くのが基本です。それについては弊社の取扱説明書にも記載されています。しかしながら、ここでいう出荷前の研削とは、それ以前の問題なのです。海外から仕入れるバイトは刃先に相当なバラつきがあり、使い物にならないものが相当な確率で含まれています。特に突っ切りバイトはその傾向が顕著で、刃先が丸みを帯びているもの、刃全体が不自然に傾いているもの、側面がゆがんでいるものなど様々です。熟練した旋盤工なら、このような“不良”バイトでも器用に成形し直して、使いこなしてしまうのでしょうが、一般のお客様にそこまで要求するのはとても無理です。ただでさえ、突っ切り作業は高度なテクニックが要求され、作業中にバイトを折損させる可能性が高いものなのです。形の悪い突っ切りバイトで、お客様にご苦労をお掛けするのは忍びない・・・ということで、形状のおかしいバイトについては、出荷前検査の一環として研削作業を実施するようになりました。旋盤本体の価格同様、一部のお客様より弊社のバイトの価格が他社の類似品よりも高いというお叱りを受けることがありますが、出荷前の手間を考えたら、「これでも頑張って安くしているのです」と叫びたくなってしまいます。突っ切りほどではありませんが、右仕上げバイトなど他の形状の刃先についても、必要に応じて研削作業を実施しています。国内メーカー製のバイトには品質が良いものがありますが、ミニ旋盤に取り付け可能なサイズのバイトは殆どありません。それゆえ、品質に難があっても海外から調達せざるを得ないのですが、もっと他によい方法がないものかと、常に考えています。


左が研削済、それ以外は研削前の刃先の状態
(写真は一例です。研削済のバイト形状が写真と異なることがあります。)