予て計画していた心押台固定用レバーの販売を、今年から開始しました。いままでは、心押台をベッド上に固定するのに、いちいちスパナーで6角ナットを締めていた作業が、レバーによるワンタッチ操作になり、作業性が大幅に向上しました。ただ、このようなレバーは製造現場で使われる旋盤には昔から当たり前のものとして備わっていますし、弊社取り扱いの旋盤でもL330などの上位機種には初めから標準装備されていて、決して珍しいものではありません。しかしながら、ミニ旋盤レベルの機種でこのようなレバーが装備されているものは殆どありませんでした。そこで、多くのお客様からのご要望もあり、弊社ではこのようなレバーがミニ旋盤に装着出来ないか、一年以上前から検討を進めていました。札幌工場にて何回かの試作を重ね、一部の機種を除き、ミニ旋盤に心押台固定用レバーを装着するメドをつけました。最終的な仕様も固まり、図面も完成し、国内外の業者さんに部品製作の見積りを依頼しました。心押台固定用レバーに使用する部品は、それほど複雑なものではないため、一番安い見積りを出した海外のある業者さんに発注することに決めました。しかし、それが躓きの始まりでした。数ヵ月後に到着した部品は、全体に仕上がりが雑な上、一部に強度不足まで見つかりました。加えて、実は企業秘密に属するので詳細は申し上げられないのですが、納品された部品は、絶対にクリアしていなければならない、ある重要部分の加工が甘く、そのままでは使い物にならないことが判明しました。クレームをつけて作り直させたものの、やはりその部分は不合格!(そんなに難しい加工ではないのですけどね。)不合格品の山を目の前にして途方に暮れてしまいました。不良といえども廃棄するのは忍びなく、弊社で追加工を試みましたがうまくゆかず、泣く泣く使用することを諦めました。結局、高いという理由で断った国内の部品加工屋さんに製作を依頼し直すことになりました。高かったけれども、納品された部品は我々の期待通りの出来栄えで、心押台に取り付けるとしっくりと馴染みました。(はじめからこうしておけばよかった。)単純な部品といえども、安易に海外に発注するとひどい目に遭うということ痛いほど思い知らされました。普段、海外の機械の整備で苦労している我々にも油断があったということを、大いに反省しました。こんなことがあったため、発売が半年以上遅れました。

お陰様で、心押台固定用レバーの評判はまずまずで、札幌工場一同、胸をなでおろしているところです。