鉄道での移動は、時間がかかりますが、ぼんやり車窓を眺めていると、新しい発見があったり、面白いアイデアが浮かんだりします。新幹線でも車窓を眺めることは可能だとは思いますが、スピードが速い上、トンネルが多すぎて(特に東北新幹線の盛岡以降)、車窓を楽しむ気分にはなりません。

「北斗星」は上野駅19時すぎの発車なので、車窓を楽しむことは出来ませんが、函館駅に着く頃までには夜が明け、函館から先は北海道内の景色を楽しむことができました。
まずは大沼公園。駒ヶ岳を背景に、大沼、小沼の美しい風景の中を列車は進みます。それを過ぎると、右手に朝日に輝く噴火湾(内浦湾)が現れます。ここから先、列車は湾に沿って、Uの字を描くように進んでいきます。いかめしで有名な森駅、かにめしが名物の長万部駅を経て、列車はひたすら走ります。やがて洞爺湖の玄関口、洞爺駅を過ぎると、左手に有珠山が眺められます。そして間もなく、鉄の街、室蘭(東室蘭駅)に到着。製鉄で栄えた町で、かつて弊社がお世話になった取引先のいくつかもこのあたりにありました。次が登別駅。温泉で全国的に有名ですが、この町には、弊社のユーザー様もおられます。機械は順調に動いているでしょうか。
そして、「北斗星」は次の停車駅 苫小牧駅を目指します。そういえば、苫小牧にもお客様がおられます。

いままで何度もこの列車のお世話になっていますが、幸い乗車した「北斗星」が遅れたために仕事に影響が出たことはありません。でも、ちょっと冷や汗が出た、列車遅れの経験が1度だけあります。それは確か、次の停車駅、苫小牧駅に向かう途中のことでした。
長い直線区間を快走していた「北斗星」に突然、急ブレーキがかかり列車が踏切のところで止まってしまったのです。外に目をやると、何と1台のトラックが遮断機の内側に侵入したまま停まっているではありませんか。どうやら、このトラック、警報機が鳴りはじめているのを無視して、無理に渡ろうと踏切に侵入してはみたものの、前方の遮断機が下りてしまったため、慌ててバック。しかし後方の遮断機も下りてしまい、踏切内に閉じ込められてしまったようです。ひとつ間違えば、大惨事になったかも知れません。
「北斗星」は現場に30分以上停車したあと、ようやく運転再開となりました。この列車は、定刻の11時15分よりも大幅に遅れて、札幌駅に到着しました。
結局、その時は、昼食を食べる暇もなく札幌工場にすべり込み、辛うじて、午後の打ち合わせに間に合いました。

北海道新幹線の開業日が2016年3月26日に正式に決まりました。「北斗星」の後を追うように、「カシオペア」と青森・札幌間を走る夜行急行「はまなす」も3月までに廃止されることになりました。
北海道新幹線開業後は、東京・札幌間を鉄道で移動するには、昼間の列車を利用するしかありません。東京駅から「新函館北斗」という新しい北海道の玄関駅までは新幹線、そのあと在来線で札幌に向かうことになります。まだ正式なダイヤは発表されていませんが、東京駅から札幌駅まで8時間はかかるのではないかと思っています。

これからも東京・札幌間の移動には、主として航空機を使うことになると思いますが、時には北海道新幹線を利用してみたいと思っています。でも「北斗星」のような風情を味わうことは出来そうにありません。昭和の雰囲気を残す寝台特急「北斗星」号の廃止は、本当に残念です。


「北斗星」車内より撮影