精度や性能に問題がないのに、キズや汚れ、外観上の見栄えの悪さなどのために、正規品として販売するのが困難な場合、アウトレット商品として、特別価格でお客様に提供することがあります。

海外から札幌工場に到着した機械やアクセサリ類は、まず最初に「受入検査」によって、大まかな品質がチェックされます。この検査によって、キズや割れ、機構部分の不具合が発見される場合があります。これらの問題箇所は、次工程である「出荷前検査」において、原則的に、全て直します。キズはパテで修復したり、塗装し直したりします。割れている部品は、新しいものに交換します。機構部分もきちんと直します。もちろん精度は、弊社の基準に従って調整されます。

でも、「出荷前検査」において修復の対象になるキズの大半は、修復しようがしまいが、操作性には全く問題がありません。小さくて単純なキズならもちろん直しますが、中には修正が極めて困難なキズも存在します。例えば以前、旋盤のベッドの摺動面に小さな巣(穴)が開いているものが見つかりました。修復するには、穴を塞いで再研磨するか、ベッド自体を交換するかしかありません。いずれの方法をとるにせよ、機械を全分解しなければなりませんので、非常にコストがかかります。実際問題として、ベッドに小さい穴が開いていても精度にも操作性にも全く影響がありません。そのような場合は、敢えてベッドを直すよりも、その部分はそのままにして、安くお客様に提供した方がいいのかもしれません。
そんな理由で、精度や操作性に影響がないのに、手間がかかるキズや不具合のある機械については、アウトレット商品として販売することにしています。

残念ながら、アウトレット商品は、「受入検査」や「出荷前検査」の過程で“発見”されるので、常にあるとは限りません。今後、どの機種にアウトレット商品がでるかも予測が困難です。アウトレット商品としては他に、廃番商品や店頭展示品などが出ることもありますが、やはり稀です。
お客様が、弊社のアウトレット商品を手にされるのは、正に一期一会の縁なのかも知れません。


事例:旋盤のクロススライド上の凹み(数か所)-精度・操作性には影響がない。