今回は万力(中型)にまつわるお話です。
私たちが取り扱っている万力は、大・中・小の各サイズと角度付万力を合わせた4種類のみです。市場に出回っている万力には様々なタイプがあり、大きさ、品質、値段もピンキリです。でも、私たちが手掛ける小型フライス盤に適した大きさで、品質もよく、しかも値段が手頃な万力となると皆無といっていいと思います。
国内市場にないとなれば、海外から探してくるしかありません。海外には、手頃なサイズの万力がありますが、品質はあまり良くありません。そこで現時点では、海外製万力を“材料”として輸入し、札幌工場で手直しして出荷するという方法を取らざるを得ません。私たちが「万力(中)旋回ベース付」として販売している製品です。

この万力は、最初に輸入した頃に比べると、残念ながら品質が格段に悪化しています。このため、工場での整備作業に非常に手間がかかっています。あまりにも直すところが多すぎて、修正漏れが発生し、お客様からお叱りを受けたこともあります。
具体的に、どこに問題があるかといえば、(1)底面とすべり面の平行度不良、(2)すべり面の肉厚のバラつき及びメねじの高さのバラつきによる開閉不良、(3)口金の取付不良などです。これらを直すために、ただの調整では済まず、万力を完全分解し、部品を削り直すなど、結構な手間をかけています。

聞くところによれば、このような問題を抱える万力を並行輸入して、安値で販売している業者さんもいるようですが、大丈夫なのでしょうか。他人事ながら心配になります。
この万力を製造している海外のメーカーでは、他にも何種類かの万力の品揃えがあるようで、私たちも過去にサンプルを輸入したことがあります。しかしながら、品質は全てNGで、構造的に直すのが困難だったので、取扱うことを断念しました。

工場に入荷した万力(中型)は、目視および動きなどをチェックして個体ごとに問題点を把握した後に、すべてを完全に分解し、機械にかけたり、必要に応じてキサゲをかけたりして、修正していきます。再び、組み上げ、塗装の手直しが終わると、晴れて商品として出荷されます。工場に到着した時の状態と比べれば見違えるほどです。何十万円もする高級万力には及びませんが、このクラスでここまで仕上げれば上出来だと思っています。でも、ここまで苦労させられるのはやはり異常です。
万力(中型)は、私たちが扱う万力のなかで中核となる商品なので、できれば、最初から品質の高い製品に乗り換えたいのですが、いいものに巡り合えないまま今日に至っています。