昔から機械本体に添付する取扱説明書の制作には苦労しています。

私たちのお客様の中には、旋盤やフライス盤を初めてお使いになるという初心者の方々が少なくありません。初めて工作機械を手にする人にもわかりやすい取扱説明書を作るのは、日頃の機械の製造・整備作業よりも厄介です。説明文に工夫を凝らし、イラストなども併用していますが、なかなか満足がいくものができません。最近は、説明不足を補完するために動画などの利用も検討していますが、やはり基本は冊子形式の紙媒体です。最近はやりのCDやネットでのダウンロードなどの方法を検討した時期もありますが、なぜかお客様の評判は今一つ。結局、いまだに受注に合わせて、必要な数量を都度印刷し、ファイルにまとめ冊子形式にした上で、機械に添付しています。

よく「必要な数量を印刷」するよりも、まとめて何百冊も作っておいた方が、よっぽど効率的だと、わざわざ指摘して下さる方がいらっしゃいますが、それをしない(できない)理由があるのです。

ご承知の通り、多くの製品は、元々海外からの輸入機械または部材なのですが、とにかくコロコロ仕様が変わります。
工場に入荷した機械を調べてみると、前のロットと送りネジの長さが異なるとか、電子基板のサイズが大きくなるとか、スイッチの種類や形状が変わるとか・・よくもこんなに変えてくるものだと感心するほどです。
たとえば、送りネジの長さが変われば、スライドの移動量も変わっている可能性があります。
基板やスイッチが変われば、主軸回転速度に変化がないか、配線が変わっていないか、今までの基板との互換性があるかどうか・・・など、たったひとつの変更でも、そこから派生する余計な(?)作業が山ほど発生します。検証が終われば、カタログ、取扱説明書などの修正作業が待っています。カタログの主力がネットに移行してからは、カタログの内容の修正に以前ほど苦労していませんが、紙媒体である取扱説明書の原稿の修正、内容の差し替えは難儀します。修正後の版数管理も大変。できるだけ正確で、完全な内容に仕上げようと努めていますが、まだまだ至らない点が多々あります。
いずれにしましても、大量に取扱説明書を作りすぎて、内容修正時に廃棄ロスなどが発生するのを避けるため、取扱説明書は最小限しか作りません。

「仕様変更による作業が大変というが、品質が改善しているのならいいじゃないか」という声も聞こえてきますが、実は変更により、かえって品質が悪化(=改悪)するケースが珍しくなく、海外製品の仕様変更には、常に警戒しています。この辺りの事情については、機会を改めてご紹介したいと思っています。