私たちの工場には修理のために様々な機械が持ち込まれます。通常は、まず営業サイドで依頼を受け付け、機種名、機番、購入時期、症状など、修理に必要となる情報をヒアリングにより集め、これを社内データや部品在庫と照合するなどのプロセスを経て、修理の可否や費用等を判断します。しかし、電話などによる聞き取りだけで状況が把握出来ることは稀で、実際に現品を見てみないと判断しかねるケースが殆どです。こんなこともあって、修理の可否を判定するために、お客様より機械をお預かりすることがしばしばあります。
このような仕事に日常的に携わっていると、時々お客様より、他社が販売した類似機械の修理の相談を受けることがあります。弊社に相談にくる主な理由は、「販売した業者がなくなった」「販売業者に修理を断られた」「販売業者がスペア部品を売ってくれなかった」などですが、中には同業他社から「ウチはもうこのビジネスから撤退したから修理出来ないが、コトブキさんなら出来るかもしれないから聞いてみたら」といわれたお客様もいました。同業他社さんから、こんなことを言われていると知らされて、実はかなり複雑な心境です。というのは、外観が似ていても、弊社の機械と他社の類似機では異なる点がいくつもあるからです。
札幌工場でのチェック・手直し作業において、部品自体を交換したり、機種によっては一部の機構の変更作業も実施したりしていますので、部品一つとっても同じでない場合があります。いつか、他社機のユーザ様から、モータが壊れたので弊社の類似機械のモータを販売して欲しいという依頼がありました。しかし、ご指名の機種はモータ並びにその取り付け部分に特別な改造を加えている機種だったため、「モータだけ販売しても、お使いの他社機に取り付け出来る保証はありません」といって丁重にお断りしました。
こうした実情に加えて、何よりも重要なのは、弊社がストックしている修理用の部品は、あくまでも弊社の機械をご愛顧下さっているお客様のために、それなりのコストをかけて在庫しているものだということです。在庫部品の中には30年以上弊社倉庫で保管されている希少品もあります。修理出来なくて困っておられる他社機のユーザ様には、大変申し訳ない言い方になってしまいますが、やはり修理については、弊社のユーザ様を優先せざるを得ません。従って、部品が十分にあり、なお且つ、弊社機と互換性があると判断出来る場合を除いては、他社様の機械を修理したり、部品供給したりすることは困難です。悪しからずご了承下さい。


30年以上保管されているスペアパーツ類