今年の札幌は例年に比べ雪が非常に多いようです。積もった雪が道路脇に積み上げられているので、札幌市内の道路はどこも大渋滞になりました。本州方面に出荷する機械の運送に影響がでないことを毎日祈っています。

札幌工場の鉄骨造りの工場棟に隣接している古い木造工場の屋根にも大量の雪が積もっています。「12月の終わりに屋根の除雪をしたばかりなのに・・・」と、降り積もった雪を恨めしそうに見つめてしまいます。木造の工場は戦前に建てられた古いものです。よく今日まで長年の風雪に耐え抜いてきたものだと、積もった雪を眺めながら感心してしまいます。聞くところによれば、この建物にはふんだんに北海道産の木材が使われ、相当頑丈に作られたものだそうです。建築に関する知識がないので、細かいところまではわかりませんが、骨組みに特長があり、非常に珍しいものだそうです。いまではなかなか手に入りそうもないカラ松材の太い梁は、長年の粉塵や油のせいで黒ずんでいますが、がっちりと屋根を支えています。創業当時の札幌工場では、その頃の多くの工場がそうであったように、いわゆる“ベルト掛け”の機械が使われていました。この太い梁の上に、大きなモータが据え付けられ、平ベルトを介して、天井に取り付けられた長いシャフトを回転させます。そのシャフトについているたくさんの滑車から、工場内の各機械までをベルトでつなぎ、旋盤や形削盤などに動力を伝えるようになっていました。モータが高価だったこともあり、たった一台のモータで工場内の全ての機械を動かしていたわけです。 いまでも、梁には当時の痕跡があります。また、切削油タンクも天井に据え付けられていたようで、ドラム缶を利用したタンクがそのままの形で残っています。

この木造工場については、以前から建て替えの話が出ていますが、諸事情あり実現に至っておりません。非常に愛着がある建物ではあるのですが、使い勝手も悪く、工場を新しくしたいというのが本音です。実際、建設会社さんからも建て替えの提案を受けたことがあります。
でも、あるゼネコンの担当者は、この木造工場を見回してから意外なことを言いました。「今後、このような木材を調達することは不可能ですし、非常にしっかりと作られた貴重な建物ですので、大事に残していくべきかもしれませんね。」