札幌工場は小型形削盤(セーパー)専門メーカーとして、数千台の生産実績を挙げていました。しかしながら、セーパーという機械自体が徐々にフライス盤などに置き換えられていったため、当工場でも約40年前に事実上、セーパーの製造を終了しております。それでも、様々な工具が必要となるフライス盤に対して、バイト1本で様々な切削加工が可能となるセーパーは、あると重宝するため、私たちの工場では未だに手放せません。同じ理由からだと思いますが、弊社が40年以上前に納入したセーパーを今日まで大切にお使い頂いているユーザー様もおられるようです。

そんな訳で、今でも年に1-2件、札幌工場製セーパーの修理や部品供給に関する問い合わせが舞い込みます。でも、セーパーの製造に携わった経験がある社員は全く残っていませんし、部品も殆どないため、残念ながら修理の依頼をお断りするしかないのが実状です。

先日、ある有名企業様よりセーパーの部品供給のお問い合わせを頂きました。「かなり昔に導入した」ということ以外、機械の型式も何も全くわかりません。手掛かりをつかむために、ユーザー様にお願いして、機械や製造銘板の写真をお送り頂きました。受け取ったそれらの写真を見て、大変驚きました。なぜなら、そこに写っていたのは、私たちがいまだかつて見たことがないタイプのセーパーだったからです。通常、札幌製セーパーのラム上にはローマ字で“SAPPORO”のマークが入っているのですが、その機械のラムには、何とカタカナで“サッポロ”と表示されているのです。銘板には「合資會社 札幌工作機械製作所 札幌市外上白石」とあります。いままで、“SAPPORO”ではなく“サッポロ”と表示されたセーパーがあったなんて全く知りませんでした。工場に現存する古いカタログとも照合しましたが、該当する機種が見当たりません。でも、間違いなく札幌工場で製造された機械のようです。いろいろ調べてみた末、確証はありませんが、どうやら1950年~53年(昭和25-28年)頃に製造されたセーパーではないかという結論に達しました。仮に1953年製だとしても、60年前の機械ということになります。人間でいえば還暦です。よく今まで現役で動いていたものだと、驚きと同時に感動してしまいました。

昔、先輩社員から「うちのセーパーは、頑丈な上、精度も最高だった」という話をよく聞かされていました。この“サッポロ”セーパーを見ていると、妥協を許さず、鋳物から部品をひとつひとつ作り、1台1台丁寧に組立てていた当時の様子が偲ばれます。
それにしてもこの機械、あまりにも古すぎて、全くユーザー様のご要望に沿えなかったことは、やはり心残りでした。


現存する古いセーパーのカタログ
(還暦の機械は、これよりも古い?)