私たちが扱う海外製品の品質が改善されないどころか、むしろ悪くなっているという話を今まで再三してきました。最近入荷する機械では、破損やキズのある部品が組み付けられているという事例が目立ちます。不良部品を平気で使用するという神経は一体どういうものなのかと、かねて疑問に感じてきましたが、最近手にしたある本の一節から、長年の疑問が一気に氷解しました。筆者は某大手自動車メーカーで中国ビジネスに従事した経験の持ち主です。

要約すると、中国では今日でも共産主義経済の影響が色濃く残り、決められた製品を、決められた数量だけ生産するという計画経済的な考え方に支配されおり、品質よりも数量の達成が重視されるということです。
実際、輸入される機械や部品の数量は揃っているのに、受け入れ検査や出荷前検査にかけると、割れた部品、変形した部品、大きな巣のある鋳物部品、正常に作動しない電装部品などが次々に見つかります。結局、現地の工場では納期を間に合わせるために、多少問題のある部品であっても、敢えて目をつぶり、使ってしまうということなのでしょう。
余談ながら、中国の人たちもこのような事情を知っているので、日本製などに殺到するのだそうです。

ところで、弊社が取引している海外の仕入先は、中国だけでなく、台湾、ドイツ、イタリア、ポーランド、イギリスなど多岐にわたっています。不良部品が組み付けられているのは、何も中国製に限らず、台湾製でも決して珍しくありません。さらには、まれにドイツ製でも不良部品が見つかります。台湾製の機械については、多くの部品やアセンブリを中国から調達しているようですし、ドイツ製機械にも、中国製の部品が多用されるご時世です。同じようなことがあっても不思議ではありません

何かと問題が多い海外製品ですが、製品の改善に真剣に取り組んでいる海外メーカーはあまり多くはありません。少なくとも私たちはそう感じています。私たちが部品不良に対して苦情をいえば、同じ部品でもう少しマシなものを出して終わりにしてしまうケースが大半です。一方、海外の取引先の中にも少数ながら、改善意欲があり、私たちの苦情に真摯に対応してくれるメーカーがあるのも事実です。しかし、いくら相手先の経営層が真面目に取り組んでいても、どうも製造現場の末端にまで伝わっていないようで、なかなか品質の向上につながっていないようです。末端に行けば行くほど計画経済の残滓が大きく影響しているのでしょうか。本当に歯痒いです。札幌工場の負担も一向に軽減されません。