いまでは、海外から入ってくる旋盤やフライス盤を整備・調整するのが、札幌工場のメイン業務になっていますが、このような仕事に本格的に携わるようになってから、まだ20数年しか経過しておりません。
それ以前は、輸入した機械を都内の倉庫に保管し、出荷前に東京の寿貿易のスタッフが、外観チェック、動作確認などを実施していました。当時は、品質が安定した欧米製の機械が多かったので、それでも何とかなっていました。しかしアジア諸国から輸入される、品質に難がある機械が増えるにつれ、東京のスタッフでは手に負えなくなってきました。このため、出荷前の整備・調整の仕事が、札幌工場にまわってきたという次第です。
それまでは、札幌工場では自社製機械の製造に注力していたので、工場の職人にとって、輸入機の整備は、余興(?)のような感覚でした。

ご多聞にもれず、20年前のアジア製機械は、精度のみならず、部品も、塗装も、デザインもお粗末でしたが、コストや時間的な制約があり、ある程度的を絞った限定的な整備しか実施できませんでした。しかし、その程度の整備では、やはりお客様に納入した後に、様々な不具合が指摘され、いろいろお叱りを受ける結果となりました。
問題が起きるたびに、原因を究明し、対策を考え、現場で使用する機種毎の「検査表」に反映させてきました。ある不具合がやっと解決したと思ったら、今度は別な箇所で新たな不具合が発生する・・といった、正にモグラ叩きのような状態が何年も続き、気がついたら、検査項目が当初の何倍にも増え、それに要するコストも上昇し続けました。
でもこの頃になると、工場全体として、輸入機の整備・調整のノウハウが相当蓄積され、作業効率も上がってきました。

そのうち、ただ整備するだけでは完全には解決できない品質上の問題に対しては、部品を作り直すとか、国内で調達した部品に交換するとか、部品の“国産化”も頻繁に実施するようになりました。“国産化”といっても、最初は問題が発生するたびに、改善策の一環として実施していたので、かなり受け身の対応だったのです。いずれにせよ、悩み、苦しんだ甲斐があって、最初の頃とは比較にならないほど品質が向上したのは事実です。
私たちが取り扱っている輸入機には、20年以上の販売実績を誇るロングセラー商品がありますが、発売当初の機械と今出荷している機械では、同じモデルでも品質に雲泥の差があるはずです。

約2年前に、私たちは輸入機をベースにした新商品の検討を開始しました。検討にあたっては、20年以上にわたり蓄積してきた経験とノウハウを活かして、問題が発生しそうな部品を整備・調整するのではなく、最初から国内調達部品に交換し、品質的に安定した機械に仕上げることを目指しました。社内では、このプロジェクトを「JK」というコードネームで呼んでいました。JKの意味は極めて単純です。JはJAPAN, Kは国産・国内調達品の略です。
こうして誕生したのが、発売1年足らずで人気機種に躍り出たFL400E-JK旋盤です。さらに最近、その姉妹機としてFL551E-JKの販売も開始しました。

ベストセラー機種だったFL400Eの後継機ということで、あまり深く考えることなく新製品名をFL400E-JKとしたのですが、名前が決まったあとで、ある社員から「世間では、JKと言ったら女子高校生を意味するので如何なものか」という意見が出ました。「JKビジネスに間違われたらイメージ悪いですよ」と。
その話を聞いて、正直、JKではまずかったかもと思いましたが、後の祭りです。少し悩みましたが、産業機械などでJKのついた機種があることもわかり、JKでもおかしくないと自分を納得させ、晴れて発売となりました。

これはJKビジネスではありません。品行方正なまじめな旋盤です。電装品や一部の部品を国内で調達していますので、品質的に安定しています。

今日も1台注文が入りました。有難いことです。


小型精密旋盤 FL400E-JK